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ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> c. 国際会議・シンポジウム >> グループ2「神道・日本文化の形成と発展の研究」
古代の神社(COEテーマセッション・共催:神道宗教学会) 
公開日: 2004/1/29
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1 開催目的

 本プログラムで推進してきた古代神社の研究は、これまで文献資料(史料)を主体として様々な角度からなされてきたが、それらを組み合わせた形での、総合的な神社の実態解明は未だ十分ではない。それは、神社に関する資料についての網羅的な情報集成が、必ずしも充実していない点に大きな問題があるといえよう。
 本プログラムでは、その打開策として「神社資料データベース」を作成している。現在作業中のこのデータベースは、古代の名神大社ないし神階高位社約400社ごとに、関係する史料を参照できるように計画している。
 このテーマセッションの目的の一つは、作成の段階で収集されたデータの分析結果を、実際に作成に携わっている若手研究者・大学院生が、「氏族と祭祀」、「神主」、「官社」、「立地環境」という分野ごとに報告し、その解明を第一歩とすることである。
 また、本プログラムでの神社研究では、最近顕著な成果を上げている、考古学・地理学的知見を従来の研究に取り込むことを視野に入れている。それらの成果を配慮した報告として、研究面での協力者である錦田剛志氏が、社殿と目される遺構が発見され注目を集めている出雲国(島根県)の神社の姿を、画像を交えて報告し、広く研究者に知見提供することを企図した。
 これらの発表に基づいて、神道・神社研究の第一人者である牟禮仁氏、藤森馨氏を交えて討議を行い、従来の神社研究の問題点と今後の方向性を見いだすことも視野に入れた。


2 開催日時

 平成15年12月7日(日)9:00〜12:00

3 開催場所

 國學院大學常磐松1号館第4演習室

4 発表者・コメンテーター・司会(敬称略)

 発表者
 鈴木 聡子(國學院大學大学院)
 「古代の神社と氏族について」
 永田 忠靖(國學院大學大学院)
 「古代神職論―神主・祝について―」
 加瀬 直弥(國學院大學COE研究員)
 「神社側から見た古代祭祀の一考察」
 根本 祐樹(國學院大學大学院)
 「古代神社の立地・環境」
 錦田 剛志(島根県立博物館主任学芸員)
 「『出雲国風土記』にみるモリ・ヤシロ・ミヤ 〜考古学からの問題提起〜」

 コメンテーター
 牟禮 仁(皇學館大學教授)
 藤森 馨(国士舘大学助教授)

 司会
 岡田 莊司(事業推進担当者)

5 会の詳細

5-1 発表の概要

 古代の神社と氏族について(鈴木)
 本発表では、従来の研究で重視されている神社と氏族の関係が題材となった。まず、氏族の祭祀に対する、様々な朝廷からの援助についての整理がなされ、その上で、宗像氏を一例として、氏族主体の神社維持がしていた状況が指摘された。

 古代神職論―神主・祝について―(永田)
 この発表は、古代神主の職制が、祝や祢宜と比べて不明な点が多いという問題意識に基づく。発表者は、大神神社を一例として、神主の官人としての性格と、祭祀氏族の長としての性格が、時代の変遷によって変化していった過程を論じた。

 神社側から見た古代祭祀の一考察(加瀬)
 発表者は、神社が官社に預かる際に、どのような神社が官社としてふさわしいものと朝廷が認識していたかという点について検討した。史料を集成すると、朝廷が人間の生活環境から隔絶された場を官社として設定している傾向が見いだされることが指摘され、神社周辺における社会状況が預官社に及ぼす影響は、それほど大きくない可能性が示唆された。

 古代神社の立地・環境(根本)
 古代の人々が、どのような自然環境に祭祀の場を形成していったのか、その具体的関係を探るため、『常陸国風土記』行方郡条に記された神社を調査し、文献と照らし合わせた結果が整理された。すなわち、台地上の水源・池、または、人間の生活環境から離れている所に神域が設けられる点が報告された。

 『出雲国風土記』にみるモリ・ヤシロ・ミヤ 〜考古学からの問題提起〜(錦田)
 錦田氏は、『出雲国風土記』の記述から、いわゆる神社の古態の抽出を行い、その諸相を整理した。その上で、実際に出雲地方で発見されている当該期のいわゆる祭祀関連遺跡に関して、網羅的な報告をした。
 特に、青木遺跡(島根県出雲市東林木町)で発見された特殊な建物跡、神像、木簡、墨書土器など、出雲地方の考古学の最新成果を提示しつつ問題提起が行なわれた。

5-2 研究会で得られた成果と課題
 発表に対する議論は、錦田氏が報告した、10月発表の青木遺跡の調査成果に対する関心から展開された。青木遺跡では8〜10世紀前後の土層から、
 ・柱材が残る九本柱の建物跡
 ・石敷きの井戸
 ・神像と推定される木彫像
 など、数多くの注目すべき遺物が出土している。今回の錦田氏の報告は、限られた時間で行われ、遺跡自体の調査も中途であったため、詳細なデータに基づいた十分な検証は今後の事業で推進していく必要はあるものの、特に奈良から平安初頭にかけての神社の姿を検討するための材料が豊富であることは、参加者共通の認識として理解できた。この成果をいかに神社研究に反映させていくかという点については、事業推進の一つの大きな課題として位置づけていく。
 若手研究者の発表は、蓄積された文献データをどう整理分析できるかという視座に基づき、基本的な指摘を行うことに留意したものであった。したがって、テーマも限定的で、さらなる内容の深化も求められよう。しかし、錦田氏が示した考古学的な古代神社へのアプローチを的確に反映させるためにも、さらなるデータの蓄積とその分析する作業を推進させる必要性が確認された。
文責:加瀬 直弥(COE研究員)

 
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