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ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> c. 国際会議・シンポジウム >> グループ1「基層文化としての神道・日本文化の研究」
東アジア異文化間交流史研究会・第2回国際研究会議 
公開日: 2004/2/18
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1.はじめに

 東アジア異文化間交流史研究会・第2回国際研究会議(第汽哀襦璽 事業推進担当者鈴木)は、去る2003年12月13日(土)・14日(日)の2日間にわたって開催された。この国際研究会議は、『古代東アジアの異文化間交流と文化形成』を総合テーマに掲げ、2つのセッションを設けて開催した。日本・韓国の研究分野を代表する第一線の専門家を多数招き、日本と東アジアの歴史・文化の実態と特質へのアプローチを共通の課題として提起し、論議を深めようとしたものである。


2.研究会議の趣旨と報告主題・討論

◇第1日目 第汽札奪轡腑鵝峇攅餮殿紊料以後円墳と日本の古墳文化」

これは、今年2月と5月に韓国全羅南道・全羅北道地域における現地調査、および9月13日に熊本市で開催したシンポジウム「古代九州の古墳文化と韓国の前方後円墳−古代国家形成の異文化間交流−」の成果と課題をふまえて企画したものである。韓国西南部は現在13基の前方後円墳が確認されているほか、倭系と分類しうる埋葬施設や副葬された倭系遺物が確認された古墳が分布している。北部九州をはじめとする古代の日本(倭)と韓半島の文化交流、倭人の異文化接触を明らかにしていくうえで、きわめて重要な示唆をふくみ、近年もっとも論議の高まりをみせている研究対象である。

〔報 告〕  

朴天秀(韓国慶北大学副教授)
「栄山江流域における前方後円墳からみた古代の韓半島と日本列島」

李鎔賢(韓国国立中央博物館学芸研究士)
「韓国古代の全羅道と百済・加耶・倭」

柳沢一男(宮崎大学教授)
「韓国の前方後円墳と北・中部九州」

土生田純之(専修大学教授)
「前方後円墳をめぐる韓と倭」

鈴木英夫(國學院大学講師)
「韓国の前方後円墳と倭の史的動向」

山崎雅稔(國學院大学COE研究員)
「韓国全羅道前方後円墳の現地調査報告」


 すべての研究報告が終了したのち、鈴木靖民・杉山林継教授の司会により、総合討論が行なわれた。古墳造営に関するディテール(埋葬施設の構造、編年など)に関する質疑応答、全羅道地域と北部九州・加耶との地域間交流、前方後円墳が築造されたポイントと周辺の在地勢力系統の墳墓との関係、首長系列の問題、および文献史料の解釈と考古学資料との対応関係などについて、活発な討議、意見交換が行なわれ、全体テーマとしての古代日本との文化的・政治的関係への接近が試みられた。また、コメンテーターとして会場に、白石太一郎(歴史民俗博物館教授)・広瀬和雄(奈良女子大学教授)・睫擽各鵝雰本県宇土市教育委員会)の3氏を招へいし、本テーマ、今後の課題に関わる有益な発言を頂いた。


◇第2日目 第競札奪轡腑鵝峺殿綸譽▲献△汎本の宗教・信仰の交流」

 前年度の「神祇・仏教の東アジア異文化間交流」をテーマとする第1回国際研究会議において、9〜12世紀の僧侶たちが中国山東の山神を招致し赤山明神なる護法神として再現させ、他方で在地神を新羅明神として創出させるという、異文化の受容と変容について、仏教を含めて議論したが、その際、外来神の日本内部での神仏習合はもとより、神道・仏教・陰陽道、道教など多様な信仰・宗教・思想の諸関係の実態と、そのシステマティックな状況の理解如何が大きな課題として浮上した。あわせて日本と東アジアの異文化交流では収まらないアジア的規模での究明の必要も指摘された。今年度はこれらの成果と課題を承けて、東アジアでの古代・中世の信仰と海上活動の関係、海辺ないし航海の祭祀に表れた朝鮮・日本・中国各地の交流と文化複合を取りあげ、ついで平安時代日本の外来の護法神を通しての神仏信仰のありよう、アジアに遡源する道教・陰陽思想とその日本受容後の様相、神道・仏教・道教・陰陽道の宗教システムの形成と日本文化という問題を具体的に討議し、研究の深化を企図して、上記のテーマを設定した。

〔報 告〕

杉山林継(國學院大学教授)
「古墳時代の海上交通と信仰」

高慶秀(國學院大学大学院博士課程後期)
「韓国扶安竹幕洞祭祀遺跡の文化複合−海辺と航海の祭祀−」

岡田精司(元三重大学教授)
「古代の外来護法神について−東アジア国際交流における−」

増尾伸一郎(東京成徳大学助教授)
「東アジアにおける道教の伝播−日本と朝鮮を中心として−」

三橋正(大正大学講師)
「日本的信仰構造の成立と陰陽道」
 
 当日は、杉山報告・高報告のあと、いったん海上交通に関わる祭祀についての討議が行なわれ、5人の報告終了のあと、鈴木靖民・岡田荘司教授の司会により、あらためて総合討論が行なわれた。中国・朝鮮との交流をめぐる扶安竹幕洞祭祀遺跡の歴史的位相、祭祀場としての性格、祭りを行なう主体に関する討議、古代日本における崇拝対象として神と仏のほかに陰陽道系の神々があったとする岡田精司氏の新しい見解に対する議論、祭祀における疑偽経典のあつかわれ方、日本の信仰構造・宗教システムのなかでの陰陽道の位置づけについて意見交換が行なわれた。フロアからは宮家準氏(本学教授)が修験道研究の立場から、山下克明氏(青山学院大学講師)が陰陽道研究の立場から発言を頂いた。また奥村周二氏(早稲田実業高校教諭)が外国の商人なども参加して開催された高麗時代の八関会の祭りとしての性格について、王海燕氏(本学大学院)が古代中国の祭祀と日本における水辺での祓との比較ついて、それぞれコメントして頂き、平安時代の祭祀・祭儀・信仰の歴史的様態の特質に関して、東アジアの交流のなかでの議論することができた。
(以上、COE研究員山崎雅稔)     

3.今後の課題

 1日目については、主に考古資料により、古代の墓制・葬制を通しての儀礼・祭祀という面で、列島外に表れたいわば日本文化の現象をどう考えるか、円仁に知られる異文化世界のなかでの倭人・日本人の宗教・文化活動、文化移動という問題として発展させうるものであり、歴史的には中世・近世の日本町や近代のアジアはじめ各地への移民などにともなう宗教・信仰の問題にも波及する。また前方後円墳が日本の古代王権の政治と不可分とされており、その政治と宗教・信仰の関係を韓半島という異なる歴史空間の例から見直すという課題を改めて明らかにしたもので、今回だけでなく、引き続き今後の学界に向けても提起したことになる。

 2日目については、古代の日本と韓国の海(水)上活動と宗教・祭祀の関係性を交流と比較の観点から提示したので、今後、類例について、考古資料と文献史料の両面から研究を深化させていくことが日本の特性を考える上での課題である。また神道をとりまく、陰陽道や道教を含め、外来の宗教が受容された具体相を明らかにしたが、それが古代の信仰構造としてどう形成されたか、特に9世紀以降の平安時代の宗教を主とする文化形成の追究が大きな課題となった。なお特に神像の出現をめぐって陰陽道の呪物との関係が浮上したが、仏像など偶像崇拝との関係も研究課題となった。
 
 今回の国際シンポを通して、報告や司会という具体的な形で神道史、考古学のグループ(事業推進担当者)の協力により、成果を挙げられたことが意義深く、今後も共同に進めたい。同時に、これらの異文化交流のなかでの日本文化の形成という課題、特に外来の宗教・信仰のありかたを議論するには日本だけは限界があり、少なくとも韓国・中国のこの方面の専門の研究者との国際的な共同研究・提携が必須であることを痛感している。
(以上、事業推進担当者鈴木靖民)

 
 
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