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ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> b. 研究会 >> グループ2「神道・日本文化の形成と発展の研究」
第4回「神道・日本文化と外来宗教思想研究会」 
公開日: 2004/10/26
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○テーマ:「外来思想と神道の関わり」

1.開催目的:
 平成15年度に3回行った「神道・日本文化と外来宗教思想研究会」(リンク:第1回リンク:第2回リンク:第3回)の第4回目として、今回は特に本学COE関係者や大学院生が外来思想と神道・日本文化との関連性や相違点について理解を深めることを目的とし、学外から北条勝貴氏を招いて、大陸における卜占と我が国における卜占についての比較研究に関する発表をお願いした。また、学内からは山崎雅稔COE研究員が朝鮮半島における巫俗に関する発表を行った。


2.日時:平成16年9月29日(水) 14時〜17時30分

3.会場:國學院大學院友会館3階 大会議室

4.研究発表者・コメンテーター・司会・コーディネーター ※敬称略
  研究発表者
   北條勝貴(埼玉学園大学非常勤講師)
     「卜占の知・技術と〈祟〉の創出」
   山崎雅稔(本学COE研究員)
     「朝鮮の巫俗とその研究」
  コメンテーター
   三橋 健(本学大学院文学研究科助教授・事業推進担当者)
   鈴木靖民(本学大学院文学研究科教授・事業推進担当者)
  司会
   浅野春二(本学日本文化研究所兼担助教授・事業推進担当者)
  コーディネーター
   新井大祐(本学COE研究員)


5.研究会の詳細

 5−1 発表概要

 ◎北條勝貴「卜占の知・技術と〈祟〉の発生」
 
 北條氏はこれまで、自然環境と人間の心性・実践との関係を中心として、日本における中国的言説の導入を軸に、神観念の成立、祟り神化、初期神仏習合などの情況についての研究を進められている。
 今回は特に、古代、大陸より我が国に伝わった卜占、特に亀の甲羅を使用する亀卜を中心に、大陸と日本の有り様の比較研究を通し、そこから「神が祟る(祟り神伝承)」という概念の創出について考察を加えるとともに、卜占を職掌とした卜部氏の氏文『新撰亀相記』などを中心とした亀卜の実態についての発表がなされた。
   
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  まず氏は、先行研究を踏まえながら、記紀や各地の『風土記』等にみられる「祟り神伝承」を「自然災害型」と「交通妨害型」の2種類に分類する。そして、前者が6・7世紀頃、後者が7世紀以降の形態であるとして、さらに卜占を行うことで初めて何がその祟りの原因となっているかを人々が知るという構造から、卜占と祟には密接な関係があるとする。
  そこで、大陸における「祟(スイ)」に目を向けると、元来の意味は「王に災いなす神獣」の象形文字であり(殷代卜辞)、甲骨文字では毛深い神獣として表現され、さらに『説文解字』においては、多く災害などである「祟」という現象を通じ、神の意志が発露するものと説明されることとなる。これに対し、日本では神の出現を表す「タツ」に「祟」字を充て、マイナスの意味が与えられたとする。
  また、大陸の史書(『竹書紀年』・『春秋左氏伝』)や志怪小説(『捜神記』など)における「卜」・「祟」の用例や神観念と日本での用例との比較を行い、大陸と日本では祟り神伝承に、
  1.神が自らへの祭祀を求めて災害をおこす。
  2.神と人の交渉が夢告や託宣によって行われる。
  3.冤罪による処刑もまた災害を呼ぶ(「気」という形で発現)。
というモチーフが通底する一方、大陸では人間神が主であるのに対し、日本では自然神が祟りをおこすという神観念の質的相違があるとする。
  さらに、殷代末期ころより大陸で導入される、王と補佐者2名(貞人)が卜占を行う「三卜制」の有り様から、卜占と王権が深いつながりを持っていたことが指摘された。
  以上より、大陸における「祟」の概念は6世紀頃より卜占とともに我が国に導入され、それらを生業とした祭祀技術者である卜部達(神祇官人)による災害・怪異の卜定(災異占・怪異占)をもとに、まず先述の「自然災害型」の祟りが王権との関係をもとに発生・発展し、後にそのモチーフを援用した形で「交通妨害型」が各地で派生していったとの説を提示した。

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(左から浅野氏、北條氏)

亀卜の実態と『新撰亀相記』
 次いで、大陸における亀卜がかつてどのように行われていたのかという実態的問題に対し、周や漢代の作法を『周礼』や『漢書』の記述をもとに、また、我が国における実態について『新撰亀相記』(以下、『亀相記』と略す)や『宮主秘事口伝』、伴信友の『正卜考』に見られる作法や執行方法などについての解説がなされた。中でも、『亀相記』は取り分けその成立が古く(天長7年(830)撰)、また、卜部の氏文とされているが、同書には「亀経」というものに基づく記述が散見する。
  そこで、大陸に目を移すと、隋代の『隋書』や『五行大義』に史蘇撰の『亀経』という典籍の名や逸文が見られ、さらにその逸文らしき記述が唐代の『大唐六典』にも看取される。それらの記述と『亀相記』の「亀経」の記述を比較するとおおむね一致し、ここから、『亀経』を重視した隋の卜占制を、日本が国家的に受容した可能性が指摘された。


◎山崎雅稔「朝鮮の巫俗とその研究」
 
  山崎氏は事業推進担当者、鈴木靖民教授のもと、古代から中世における日本と朝鮮の交流史についての調査研究を進めている。
  今回は朝鮮半島における民俗宗教の一例として、巫俗についての発表がなされた。
 特に、今後、日本との比較研究を行うための基礎的作業として、研究史の整理を通しての巫俗・巫術の特徴の解説が主となった。
  朝鮮における巫俗は、各地で呼び名は異なるが、呪術者や宗教的職能者として郷村の祭や個人祈願のために儀礼(神降ろしなど)を行う者を指す。
  山崎氏は、これまでの先行学説を取り上げながら、これら巫俗の地域的な分類や、そこから派生する社会的役割の相違、また、それら巫俗が行う祭儀(端午祭)などにみられる儀礼構造等の解説を行った。

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(山崎氏)

 そしてそこには、道教や仏教、儒教などに根ざしたものが多々見られ、複合的な様相が窺われることが報告された。
  これらより、朝鮮の巫俗儀礼の形態と日本における民俗宗教や習合思想との間に同種の思想が通底する可能性が示唆され、今後、日本との比較研究を進める必要性が提示された。


5−2 成果と課題
  まず北條氏の発表を受けてコメンテーターの三橋氏より、現在までにほとんど行われなくなった亀卜に対し、現在でも各地の神社などで継承されている鹿卜(鹿の肩甲骨を灼く卜占)の問題や、神道関係を始めとする日本の古典籍の調査研究に、大陸の典籍に対しての知識がより一層求められる点など、今後の神道・日本文化研究のさらなる課題が提出された。さらに会場より、「古代の対馬や壱岐の卜部の存在から、日本と朝鮮との交渉をどのように捉えるか」、「卜占と一括りにせず、卜骨と占筮を分けて考えるべきではないのか」など多数の質問・意見が寄せられた。
 また、山崎氏の発表についてコメンテーターの鈴木氏より、朝鮮、さらには東アジアにおける宗教思想を考察する上で、中国(唐)の祠令や朝鮮の祭祀志などとの関わり、さらには日本の神祇令の問題を考える必要性が提示された。

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(左から、山崎氏、北條氏、鈴木氏、三橋氏)
 
  以上から、日本における外来思想の受容に関して、時代的・地域的な問題など、さらに視野を広げて考えることの重要性が浮き彫りとなった。

文責:新井大祐(COE研究員)





 
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