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ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> c. 国際会議・シンポジウム >> グループ1「基層文化としての神道・日本文化の研究」
国際シンポジウム「動物と儀礼−東アジアの中の日本−」開催報告 
公開日: 2005/9/28
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國學院大學21COEプログラム 
国際シンポジウム「動物と儀礼−東アジアの中の日本−」
         
1.開催目的
 昨年開催した「東アジアにおける新石器文化の成立と展開」を承けて、動物を用いた祭祀や儀礼に焦点を据え、かつ先史時代から歴史時代までを通史的に把握する試みであり、このシンポジウムを通して東アジア世界の中の日本の基層文化の特質をより鮮明にすることを目的としている。

2.開催日時
 平成16(2004)年11月27日(土)〜28日(日)
 
3.開催場所
 國學院大學120周年記念2号館2104教室

会場風景

4.講演者・シンポジウム発題者等(敬称略)
◆基調講演(11月27日 16:00〜17:30)
 ・講演者
  趙輝(北京大学)「中国史前社会の再検討」     
 ・司会
  司会:吉田恵二(事業推進担当者)
◆シンポジウム(11月28日 10:00〜17:30)
 ・趣旨説明
  吉田恵二(事業推進担当者) 
 ・研究報告
  田口洋美(東京大学)「ロシア極東少数民族と東北日本のまたぎに見られる狩猟の手続き」        
  袁靖(中国社会科学院考古研究所)「中国新石器時代のブタに関わる祭祀活動」   
  岡村秀典(京都大学)「中国古代の動物供犠」
  加藤晋平(國學院大學)「モンゴル国アウラガ遺跡に見る焼飯儀礼」
  西本豊弘(国立歴史民俗博物館)「縄文・弥生文化の動物儀礼」
  吉田恵二(事業推進担当者)「律令期の殺牛殺馬」
  笹生 衛(千葉県立安房博物館)「古代日本の動物神饌−神祇祭祀を中心に− 」 
  浅野春二(國學院大學)「道教儀礼と動物供犠」   
 ・ディスカッション
 コメンテータ
   小林達雄(事業推進担当者)
   藤本 強(事業推進担当者)
 司会
   杉山林継(事業推進担当者)

5.シンポジウムの概要

ディスカッション

5-1.内容
◆基調講演
 趙輝氏は、厳文明のいう「多元一体」の現象は東アジア地区の先史文化において各地で見ることができ、各地の相互作用の中でひとつの巨大な文化総体が結成され、文明への道へと進むとした。そして、社会の複雑化と分層化が著しく進むものとそうでないものの2つの異なる文明発展のプロセスがあることを提示し、各々のプロセスにおける宗教の変化と発達、作用は大きく異なり、その背景には地理的環境とそれに伴う生業形態が密接に関係したことを指摘した。

◆シンポジウム
 田口洋美氏は、民族学、環境学の立場から東北アジア文化圏における狩猟の手続きとしての儀礼について調査事例を具体的に紹介し、経済と技術、儀礼が相互の関係をもって変化することを提示した。

 袁靖氏は、中国新石器時代に行われた祭祀活動の中で最も多量に用いられたのはブタであり、ブタの利用と飼育の発展過程とが基本的に一致しており、後代の歴史時代にも影響を与えるとした。また、ブタの利用方法については、各地の文化特質と精神文化との関係をより詳細に検討する必要があると述べた。

 岡村秀典氏は、動物の利用に関して中国先史時代と殷周時代との間に大きな変革があることを指摘。先史時代のそれは大きく失われたのに対して、殷周時代の祭儀は戦国から漢代の儒家達によって礼書にまとめられ歴代の王朝に継承されたうえ、日本を始めとする周辺地域にも深い影響をあたえてきたことを考古学的な成果をもとに古典籍、出土文字資料を援用して報告した。

 加藤晋平氏はチンギス・ハンの大オルドであるモンゴル国のアウラガ遺跡から出土したウマ・ウシ・ヒツジの獣骨の特殊な加工痕などを紹介し、それらが『元史』祭祀志・国俗旧礼の条にあるように、貴人の葬儀時の焼飯という儀式に用いられたものであることを報告した。   
 
 西本豊弘氏は、まず縄文・弥生時代にみられる動物儀礼について、動物儀礼に用いられた動物骨を認定する条件を述べ、その上で縄文時代と弥生時代では動物儀礼の意味が異なり、各時代の動物観の違いを反映していることを述べた。     
   
 吉田恵二氏は、古代の日本では国家的な祭祀とは別に、民間の巫覡によって行われた様々な祭祀があり、その成立や系譜については中国で道教や民間信仰を示す遺物が漢代に出現するものの、いまだ不明な点が多く今後も検討が必要であるとした。また、日本古代の祭祀形態には日本独自に発達したものと、道教や仏教など大陸から新たに伝わってきたものとが混在していたことが、考古学的遺物から裏付けられると述べた。

 笹生 衛氏は、『延喜式』に記された神祇祭祀の祭料と祝詞の内容の比較検討から、律令期の神祇祭祀の中に動物神饌の痕跡をさぐり、さらに関連する考古資料との検討を行い、動物神饌と関連する神祇祭祀の性格や系譜について報告した。 

 浅野春二氏は、道教では原則的には動物を供物として用いることはしないとしながらも、特定のケースでは動物の肉や血を用いることが行われていることを紹介した。そして道教儀礼では原則をたてながらもその周縁部で民間信仰的なものとの間の「流動性」が存在していたことが認められると指摘した。

 以上の報告を受けたディスカッションでは、まず藤本強氏より、無文字社会と有字社会では各々の資料・史料の取り扱いが異なっていることから、これらをどのようにすり合わせていくべきか、今後さらなる検討が必要であるというコメントがあった。続いて、小林達雄氏からは、時間の流れの中で、人間と自然とのかかわりにおいて動物との関係はいかに変化していくのかという視点が重要であるとのコメントを得た。
 その後、報告者からの補足説明と質疑応答がなされたが、この中で、‘常生活とのかかわりの中での動物と政治の中に取り込まれた動物の利用の差異の発生、日本列島における動物と人間の関係を大陸に求めることが多いが、日本列島内における独自の発達はいかなるものであったのか。祭祀や儀礼に用いられる動物の種類の変化について、こ依茲僚ゞ気箸隆悗錣蝓等の議論があった。
 本シンポジウムで提示された日本列島における先史時代から古代にかけての動物と儀礼に関する諸相は、中国大陸からの影響を多大にうけているものの、列島内の社会背景のもと独自の発達をとげ、より複雑化・拡大化していたことである。今後は中国大陸や、今回触れることのできなかった韓半島などとの対外的な比較を進めながらも、列島内における祭祀の実態や信仰の対象など、独自性とそれを生み出したプロセスを解明するための焦点を絞り込んだ研究を進める必要性がある。

文責:加藤里美(COE研究員)
 
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