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ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> c. 国際会議・シンポジウム >> グループ2「神道・日本文化の形成と発展の研究」
石塔形式の将来にみる異文化間交流―中世の宝篋印塔を中心として― 
公開日: 2005/11/9
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1.開催目的
 本学COEプログラムでは、日本文化の形成と発展の様相を明らかにするための一つの方法として、東アジアにおける異文化間交流の実態と、その日本文化に対する影響の具体像解明を目指し、これまで数度の調査やシンポジウムを実施してきた。
 今回シンポジウムの中心テーマに選んだ宝篋印塔とは、五輪塔と並ぶ代表的な中世の石塔の一種であり、日本人の宗教観の歴史的展開を解き明かしていくための重要な宗教遺物である。その形は中国から伝来したものといわれていたが、近年の中国における調査により、中国のある特定の地域の石塔として広汎に残存していたことが確認された。しかもその形式が、南宋から帰国した僧侶によって鎌倉時代はじめの日本に将来したと推定されている。 本シンポジウムではこのような石塔形式の中国からの将来と日本への定着を実証的に検討することで、異文化間交流が日本文化の形成と発展にもたらした影響を具体的に提示することを目的として実施した。

2.日時 2005年9月11日(日) 午後1時〜6時

3.会場 國學院大學 渋谷キャンパス 120周年記念2号館 2201教室

4.報告者・コメンテーター・司会
・報告者 
 岡本智子氏(大阪府文化財センター)
 張毅捷氏(東京芸術大学客員研究員)
 山川均氏(大和郡山市教育委員会)
・コメンテーター
 斎藤彦司氏(元神奈川県立歴史博物館)
 下高大輔氏(奈良大学大学院)
・司会
 千々和到氏(國學院大學・事業推進担当者)

5.概要

・報告

岡本智子氏「日本における石造宝篋印塔の成立過程とその意義」
 日本の石造宝篋印塔の成立について、中国の金属製宝篋印塔・石造宝篋印塔と日本の初現期宝篋印塔との形態比較から、その源流が中国の石造宝篋印塔にあることを指摘した。さらに、日本の石造宝篋印塔が鎌倉中期以降に増え始める要因として、これが勧進聖による民衆布教の手段として取り入れられたことによるものである可能性を示した。
 
張毅捷氏「『宝篋印陀羅尼伝来記』について―仏教発展背景から鎌倉期石造宝篋印塔の成立を見る」
 中国と日本の石造宝篋印塔を比較した上で、中国の宝篋印塔は建造物であるのに日本のそれはそうでないことなど、中国との差異に注目し、この差異が生まれる思想的な背景には、平安中後期以降日本の密教系僧侶の間で『宝篋印経』の注釈が多く行われ、さらにこれに依拠した「宝篋印法」が重要な密教修法として位置づけられて行くといった、日本仏教の独自の思想的な発展があったことを指摘した。

山川均氏「石造宝篋印塔将来の背景」
 鎌倉前期に中国から日本への石造宝篋印塔将来を果たしたのは、従来言われている道元ではなく、中国で宝篋印塔が集中的に存在する泉州に留学したことが当時の僧侶の中で唯一確認できる證月房慶政であり、慶政がもたらした情報を元に渡来系石工(伊派石工)の手によって初期石造宝篋印塔が作られた可能性が高いことを指摘した。また、両者を結びつけた人物として、興福寺修造を行った慈心坊覚心を想定できることを述べた。

・コメント
斎藤彦司氏
 報告者たちの取り上げた事例が関西を中心とする初期型宝篋印塔であったのに対し、関東の宝篋印塔の研究状況に関してコメントし、特に鎌倉を中心に南関東に分布する、西相模で産出する安山岩を使用した宝篋印塔を、「相模型」として類型化することが可能であることを指摘した。

下高大輔氏
 2004年度に日中共同で実施された、中国福建省・広東省における石造宝篋印塔の調査概要を述べ、現存する宝篋印塔の所在や現状について貴重な実測図や写真をもとに紹介した。
 
・総合討論
 総合討論では、報告者の個別報告に関する議論の他、宝篋印塔に限らない日本の石塔成立における異文化の影響や、中世の宝篋印塔と宝篋印陀羅尼の具体的関係、石塔の立つ場の問題やその機能などについて、活発な討議が行われた。最後に司会から(篋印塔形式の中国からの伝来の様相が具体的に明らかになったが、その伝来が果たして一度きりだったのか、あるいは何波にもわたるものだったのか、他の石塔形式の中国からの日本への将来、たとえば無縫塔などとの比較も、今後の重要な課題となるのではないか、などの指摘があって、このシンポジウムを終了した。


 日本文化の形成や発展に関しては、近年、東アジアの大きな歴史の中で捉えようとする動きが活発であり、各時代における具体的な研究蓄積が成されつつある。今後もより多角的な異文化間交流の具体像解明が必要となろう。

(文責:21世紀研究教育計画嘱託研究員 太田直之)
 
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