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ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> a. 調査 >> グループ1「基層文化としての神道・日本文化の研究」
大韓民国における多鈕鏡調査 
公開日: 2006/10/25
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1.調査地
 大韓民国 國立中央博物館

2.調査参加者
 杉山林継(事業推進担当者)
 村松洋介(國學院大學大学院文学研究科日本史学専攻博士課程後期・國立晋州博物館特別研究員)
 深澤太郎(國學院大學大学院文学研究科日本史学専攻博士課程後期)
 武田芳雅(國學院大學大学院文学研究科日本史学専攻博士課程後期)
 野内智一郎(國學院大學大学院文学研究科史学専攻博士課程後期)

3.出張期間
  平成18年7月30日〜平成18年8月1日(3日間)2泊3日

4.調査の目的と成果
 本調査は、日本列島に初めてもたらされた青銅製の鏡である多鈕鏡を対象とし、製作工程や使用状況の検討から、鏡を用いた祭祀の実態を復原することを主たる目的とする。今回は、國立中央博物館が所蔵する大田広域市槐亭洞遺跡出土多鈕粗文鏡・忠清南道牙山市南城里遺跡出土多鈕粗文鏡・唐津郡素素里遺跡出土多鈕細文鏡各2面の熟覧・写真撮影を実施した。
 東アジア各地から出土した多鈕鏡は80面を超える。本プログラムによって熟覧した資料は35面であるが、多鈕鏡が集中的に出土する韓国忠南地方の事例についても概ね調査を終了し、初期の日韓青銅鏡祭祀に関する一定の傾向を窺い知るには充分なデータを手にすることができた。悉皆的な調査を完遂するには道半ばであるものの、ややもすれば個々別々に報告・研究される場合の多い鏡を一つの視点から見直すことによって得られた知見は少なくない。特に、熟覧と実測、デジタルカメラによる詳細な写真撮影によって、個々の鏡のもつ微かな痕跡を通して鏡背の文様構成、製作技法、製作後の使用状況、編年的位置がほぼ明らかになった結果、韓半島の粗文鏡と細文鏡、そして忠南地方と日本列島の細文鏡では使用状況が大きく異なることが判明した。
 複数の鏡が共伴し、その使用状態も充分明らかな事例から検討すると、槐亭洞遺跡の石棺墓から出土した文様帯2区と3区の粗文鏡では、鈕孔の摩滅は前者のみに認められる。また、扶餘郡九鳳里遺跡の積石木棺墓から出土した2区の粗文鏡と細文鏡では、前者の鈕孔に明瞭な摩滅が看取された。両遺跡においては、伝世した文様帯2区の粗文鏡と、新式の鏡を同時に副葬したのであろう。
 翻って日本列島の細文鏡に目を移すと、佐賀県増田遺跡出土例を除けば、殆どが懸垂された痕跡を残している。また、当班が実見した資料の限りでは、鏡背面の摩滅も日本列島出土例の方が顕著であった。これが、韓半島で伝世された鏡が輸入されたのか、日本列島で長く伝世されたのか否かは判断が難しいものの、韓半島の細文鏡が明瞭な摩滅を残す資料ばかりでない状況から推測すれば、列島内で激しく使用された可能性も否定できない。そこで注意しておきたいのは、奈良県御所市の名柄遺跡で、埋納されていた文様帯3区の細文鏡の至近から供檻下亜奮葦鑄寰罍下亜貌実が出土していることである(高橋 1918)。供檻下案実には、内面突帯が摩滅した例や、舌を伴う例も認められる事実が示す通り、鳴らして使用した鐸である。このような状況からすれば、名柄遺跡出土細文鏡は、銅鐸と共にシャーマニックな祭祀行為の中で用いられた蓋然性が高い。
 もっとも、名柄遺跡例と文様構成の近似する扶餘郡合松里遺跡出土細文鏡が、銅鐸の祖と擬せられる小型銅鐸と一括して副葬されていたように、日本列島における鏡祭祀や銅鐸祭祀の淵源が韓半島に求められることは言うまでもない。しかし、同じ鏡であっても、鏡に対する認識や、鏡に期待される役割は、それを用いる個々の社会構造によって左右される。多鈕鏡を用いた祭祀は、単鈕素文鏡を用いた中原のシャーマニズムに由来するものと想定されているが、その展開や変容、或いは鏡の物神化を詳細に検討する上で、本調査の成果は貴重な判断材料を提供できるものと考えている。
(文責:杉山林継・深澤太郎・野内智一郎)

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國立中央博物館調査風景

 
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