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ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> b. 研究会 >> グループ1「基層文化としての神道・日本文化の研究」
フォーラム「来訪する神・降臨する神」 
公開日: 2006/11/30
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1.開催目的
 本フォーラムは、平成17年度に行ったCOE国際シンポジウム「神と神を祀る者―東アジアの神観念―」で提示された諸問題の中から「来訪する神・降臨する神」に問題を特化し、議論を深化させることをめざしたものであり、折口信夫のいう「まれびと」である来訪する神と、時代を通じてうかがうことができる降臨する神の、それぞれの特質と両者の関係性について論ずることを目的とした。記紀・万葉集・風土記などの古代文献に見ることができる降臨あるいは遍歴する神、奄美・沖縄における民俗世界や「おもろさうし」に見られる来訪する神・降臨する神、日本本土の巫俗において招かれる神霊、さらに中国や韓国における来訪あるいは降臨する神の表象形態などから論じ、日本における神観念の形成とその比較文化論的研究に対する見通しを討論した。

2.開催期間
平成18年9月23日(土)〜24日(日)

3.会場  國學院大學渋谷キャンパス 若木タワー地下1階・会議室02(23日)/120周年記念2号館・2203教室(24日)


4.講演者・発題者・司会等 ※敬称略

◆9月23日13:00〜17:00
【発題者】
鈴木道代(本学博士課程後期)
舟木勇治(COE奨励研究員)
青木周平(事業推進担当者)
波照間永吉(沖縄県立芸術大学教授)
廣田律子(神奈川大学教授)
【司会】
辰巳正明(事業推進担当者)
豊島秀範(事業推進担当者)

◆9月24日10:00〜17:00
【講演者】
小島瓔禮(琉球大学名誉教授)
【発題者】
河野光沙(COE研究員)
大堀英二(COE研究員)
山本真理子(本学博士課程後期)
豊島秀範(事業推進担当者)
小川直之(事業推進担当者)
城陽子(事業推進協力者)
黒澤直道(事業推進協力者)
伊藤好英(慶應義塾大学講師)
【司会】
辰巳正明(事業推進担当者)
青木周平(事業推進担当者)


5.発表の概要 ※敬称略

鈴木道代 「万葉集にみる招代」
 万葉集に見える「三諸」についての考察であった。折口信夫が提示した依代・招代論は、民俗学的見地から言及し、共同体の祭りにおいて神を祀る目印を指すことであるのに対して、万葉集の招代は神祀りの形式を保持しながらも、共同体から氏族、個人へと集団単位はより小規模化し、それに伴い招代も縮小化されたものであることを明らかにした。

舟木勇治 「祝詞にみる神迎えと供物」
 祝詞に表現される供物のあり方を検討することで、以下のことを明らかにした。
ゞ(のもっとも根本的なものとしての、妙(たへ)があった。元来絹を中心とした布製品のことを指す幣帛が「みてぐら」と読まれ、広い意味で供物全般を意味することと、供物としての妙の位置付けは、深い関連性をもっていると考えられる。
△修靴董△海量を根本として、稲や野菜や海産物などを加えた4種類の供物が基本の形態をなしている。
その上で、それぞれの祭の目的や主眼に対応して、ある一定の祝詞の型があり、それらに沿うように、供物の枠組みが与えられている。

青木周平 「記紀・風土記にみる降臨神と巡行神」
 記紀・風土記に著されている神には、気海両譴魑遒訖澄↓兇海両譴僕茲訖澄↓靴海両譴搬召両譴鮃圓来る神、古傾澆訖澄↓硬傾漾巡行する神が存在することを明らかにした。その上で、記紀では神の去来の場が明記されている場合が多いのに対し、風土記では神がどこらから来るのか、またどこに去っていくのか明確でない場合が多いことを指摘し、記紀と風土記の間には神観念に差があることを明らかにした。

波照間永吉 「『おもろさうし』の神出現の表現」
 『おもろさうし』に著された神出現の表現から神観念を検討する発表であった。『おもろさうし』での神出現は、多くが降臨を示す表現である「おれる(降りる)」が用いられていることを指摘し、ここには神観念が琉球王府の神話イデオロギーと関係しながら形成されてきたことを明らかにした。

廣田律子 「中国ヤオ族の祭りに呼び出される神々」
 湖南省藍山県の過山系ヤオ族の還家愿儀礼の現地調査に基づき、この儀礼のなかで招来し、祭られる神についての実態を明らかにするものであった。神壇に祭られる神は総壇、聖主、霊宝天尊などで道教色の濃いものであるが、神壇左右には祖先の神龕が置かれ、五体の神像と家先牌が祭られ、儀礼の過程では巫師によってヤオ語の経典読誦を中心に、手訣を結び、呪符を描き、マジカルなステップを踏み、法具を扱いながら法術が行われることを明らかにした。ヤオ族には他の少数民族に比べて巫師が多くの経典を所有するのが特色であることを具体的に指摘したことも重要であった。

小島瓔禮 「来訪する神・大地の主の神・天上の神―最古の神観念の体系―」
 発表は基調講演として行われたもので、袋中良定による『琉球神道記』の記述などから、神がどこから訪れてくるのかという異郷観についての再検討が中心的課題であった。神の垂直的出現、水平的出現の研究を概観した上で、ニライ・カナイを海彼とするという従来の捉え方に疑義を出し、神観念を形成する異郷観について重要な問題提起をした。

河野光沙 「大分県柴山八幡社霜月祭りにおける神幸―ひょうたん様と清者様―」
 「柴山八幡社霜月祭り」の中では二種の神が存在しており、それぞれの神を取り巻く行事というものが重層的な形をとりながら、ひとつの祭りとして成り立っていることを明らかにした。その二種の神とは、第一の神として座元に降り座元から去る神、第二の神として神輿にのって八幡社から神幸所へと移動する神であり、そして、その神々をつなぐのが「ひょうたん様」と「清者様」の存在であることを指摘した。

大堀英二 「『礼記』にみる祭具・供物―郊特牲篇における郊祭―」
 郊祭の祭具・供物というのは、飾られていない、味付けのされていない質素なものが用いられており、そのものの本質を尊ぶためであることを明らかにした。そして、その本質を尊ぶということは、始原へ反ることであり、始原へ反ることではじめて神と交わることができるという意味があると指摘した。そこには、神が敬いの心という徳を受けるのであって、味わいなどを受けるのではないという神に対する観念があることを明らかにした。

山本真理子 「平安文学に現れる神観念―『源氏物語』「月日」の夢を中心に―」
 『源氏物語』の明石の入道がみた「月日」の夢は、仏教的な粉飾をほどこされながらも、天の神から王権を授けられる『日本書紀』の夢の話や、政権掌握を暗示する『蜻蛉日記』の夢の記事の影響を受けていたことを明らかにした。そして、平安文学において、王権とはこのような神の意思としての「夢告」によって与えられるものであると指摘した。

豊島秀範 「巫者が招く神霊」
 青森県内の巫者であるイタコ、カミサマの現状ならびにこの巫者たちが行う巫俗の実態について検討を行い、現在では口寄せを行うイタコと、神霊を招いて祈願・祈祷などを行うカミサマ(ゴミソ)の職掌に混同が生まれていることを明らかにするものであった。さらにイタコが行う口寄せの際に唱えられ、語られる実際の「仏呼び」「仏送り」の経文についての具体的な表現を明示した。

小川直之 「『まれびと』の表象」
 折口信夫の「まれびと」論について再検討を行い、来訪神、降臨神という従来の捉え方の再考を求める発表であった。ムラや家々に去来する神は、依代や神招きのわざおぎの有無を基準に、これらのわざおぎによって迎えられる招来神と、これらがなく自らが訪れ来る来訪神に大別して考えることができるのではないかという見通しが示された。さらに、折口がいう神としての「まれびと」には、その表象から草装の神、蓑・笠装の神、翁・媼面装の神、鬼面装の神の四タイプがあるが、これらは一神の性格の中で複数存在するものではないかという問題を提起した。

城陽子 「中国貴州省トン族の薩歳と神迎え」
 トン族の薩歳という女神祭祀についての発表であった。薩歳祭祀は「薩壇」に薩歳を迎えて行われるが、この神を迎える際に唱えられる祭詞には、迎える方角や薩壇、薩壇の敷設物が文言として盛りこまれており、ここには樹木祭祀に表れているような自然神への崇敬が基盤にあることを指摘した。

黒澤直道「ナシ族のトンバ教とその現状」
 ナシ族の民俗宗教、トンバ教の儀礼の実態についての発表であった。ナシ族にはトンバとサニの巫師がいて、トンバはチベット文化の影響を受けて文字経典をもつことが特色で、トンバによる祭祀は祭壇を設けて、招代によって神霊を迎えて供物をし、トンバ文字で書かれた経典を読誦するのが基本型であることを、トンバ教の諸儀礼と迎えられる神々の存在から明らかにした。

伊藤好英 「韓国の芸能・民俗に見るまれびと」
 韓国の芸能や祭祀に登場する「まれびと」の存在についての発表であった。高城の仮面行事、河回の別神クッ、長淵地方の山神を招いての農耕儀礼、江陵端午祭、駕山五広大の具体相を検討しながら、これらには山中での降神の儀礼が伴っている場合が多く、降臨神祭祀の性格が濃厚にうかがえるが、この神々は村内や村々を巡遊しており、水平的な来訪神の性格もあわせもつことを明らかにした。

6.成果と今後の課題
 以上の発表を踏まえた討論では、来訪する神・降臨する神の出現元、帰去先である他界観の形成、来訪・降臨する神々の表象と性格の関連性、折口信夫によって示された神としての「まれびと」の具体像に再検討すべき問題があることが明らかになった。来訪する神と降臨する神をめぐっては、従来から多くの議論が行われてきたのであるが、今回のフォーラムによって今後議論しなければならない問題と、今後の研究についての見通しが得られたのが大きな成果であった。
(文責:大堀英二・河野光沙)

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フォーラム講演状況(小島瓔禮先生)


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フォーラム討論状況


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フォーラム会場の様子
 
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