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ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> c. 国際会議・シンポジウム >> グループ2「神道・日本文化の形成と発展の研究」
シンポジウム「国家と祭祀の歴史的展開」 
公開日: 2006/12/4
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1.開催目的
 これまで本学COEプログラムでは、神道の歴史的な展開過程、その独自性と普遍性や、連続と非連続の実態解明にむけ、様々な角度からの研究を進めてきた。そこでは各時代における神道および神道を中心とする日本文化に関する具体像が明らかにされ、当該研究における深化が着実に図られつつある。
 今回のシンポジウムは、これまで本プログラムで蓄積してきたこれらの研究成果を一つに収斂させることを目的として、神道と日本文化を考える上で欠くことのできない重要なテーマである国家と祭祀との関わりに視座を据えて、古代から近代にいたる、その歴史的な展開を解明しようとしたものである。

2.日時 平成18(2006)年9月22日(金) 9時30分〜18時00分

3.会場 國學院大學 120周年記念1号館1階・1105教室

4.報告者・司会・コメンテーター(敬称略)
【古代〜中世】
・報告者
 岡田莊司(事業推進担当者)
 鈴木靖民(事業推進担当者)
 山崎雅稔(COE研究員)
 加瀬直弥(研究開発推進センター講師・COE事務局)
 太田直之(研究開発推進センター講師・COE事務局)
・司会 
 千々和到(事業推進担当者)

【近世〜近代】
・報告者
 根岸茂夫(事業推進担当者)
 武田秀章(事業推進担当者)
 松本久史(日本文化研究所講師・COE事務局)
 星野光樹(21世紀研究教育計画ポスドク研究員)
 藤田大誠(21世紀研究教育計画ポスドク研究員)
・司会 
 阪本是丸(事業推進担当者)

・コメンテーター(全体)
 井上寛司(大阪工業大学教授)

5.概要
・報告
岡田莊司氏「古代・中世の神社と神道」
 古代神祇祭祀の体系化には、天皇への神の祟りが深くかかわっていたことを指摘した。すなわち、神の祟りは、朝廷による神社修造および祭祀の発展を促し、特徴的な対神祇施策である官社の列格や神階の奉授についても、神への祟りに対して神霊を和めることを目的にするものと位置付けた。さらに国司、神職の役割について、地方神祇の管理の徹底を要請されたことにも触れ、神祇、天皇及び国司、神職によって循環型祭祀体系が構築されていたことを論じた。

鈴木靖民氏「古代の神信仰と外来信仰」
 日本古代の神信仰の複合性を論じ、その外来信仰からの影響による神仏関係の変容を七世紀から十世紀まで通史的に述べた。特に十世紀半ばは承平天慶の乱を契機として王法・仏法思想が模索された。更にそこには外来信仰との関係が強い影響力を与えていることを述べ、東アジア社会における神信仰の歴史的位置付けを明らかにした。

山崎雅稔氏「東アジアの交流と平安時代の神祇」
 九世紀から十世紀の東アジアの変動、とくに九世紀後半の新羅海賊への対応において、日本では武備を整えると同時に神仏への祈祷が行われた。さらに、新羅賊兵に関わる災異思想・卜占と政治との関わりにより、災異に対して神仏祈祷で対応するという図式がもたらされた。これら祈願により凶事を防いだと信じられたことが神国意識を高めたと結論づけた。

加瀬直弥氏「古代・中世転換期の神社について」
 蒙古襲来時における朝廷の異国調伏の神祇祭祀が、天皇一代一度の大神宝使によって行われていたことをまずとり上げ、朝廷が、社会状況の変化に際しても平安時代以来の祭祀の形態を変化させていないことを指摘した。その上で一宮祭祀の画期ともいうべき弘安7年[1284]のいわゆる諸国国分寺・一宮興行以前から、幕府が一宮の存在を重視し祭礼祈祷を行っている状況について触れ、中世的な信仰形態である一宮への信仰を維持する立場に、幕府が置かれていたことを論じた。

太田直之氏「室町幕府の神祇政策」
 室町幕府の神祇政策を検討した。幕府による朝廷権力吸収の一環として捉えられる国家的宗教政策の掌握過程が研究されている中で、神祇政策が触れられることは少ない。そこで将軍家御師職のあり方全体を考察する必要があることを指摘した。室町幕府による諸祈祷実施は、天皇を中心とする神社秩序・祈祷体制を利用し、将軍家を天皇家に擬したものであり、御師職達の社内での地位を優遇することが幕府の意向を貫徹しやすくする側面もあったことを述べた。

根岸茂夫氏「江戸幕府の祭祀と東照宮」
 徳川将軍家の日光社参が、父祖を供養する仏事から神格化された祖神を祀る神事へと転換し、その背景に明清交代という東アジアの政情変化と儒教の受容があったことを指摘した。東照宮が徳川政権によって神格化されただけではなく、政治の理想として認識されていったことを指摘した。それは、東国各地の「民俗神」としての東照宮と、それを政策へ利用しようとする吉宗などの神君への崇敬等に現れているが、東照宮をめぐる祭祀は、国家を統合する宗教理念としては不十分なまま、近代には継承されずに残ったことを報告した。

武田秀章氏「明治維新と天皇祭祀」
 明治国家祭祀のその多層的構造とともに「天皇の先祖信仰」を理解することが重要であり、近世における朝儀再興の動きと王政復古後の「神武創業」宣言・五箇条誓祭・御宸翰発布の背景には、朝廷の列祖・列聖の偉業を継述して国民を安撫しようとした天皇の「心志」の存在があることを指摘した。また、神祇官再興後の宮中神殿創祀に至る筋道、その後の皇祖と天皇との関わりを理解することの重要性についても論じた。

松本久史氏「近世の国家における「祈祷」の意義」
 近世神社史研究では、本所(執奏)を通じた神社・神職の秩序編成の研究が進展していることに比べ、遅れている祭祀の実践面について、「祈祷」をキーワードに分析を加えた。具体的には朝廷における「七社七寺祈祷」の概観、幕府における祈祷命令や年頭御礼などから、朝廷・幕府それぞれ別の同心円状の神社秩序があり、中世と近代における「国家と祭祀」の変容と持続を考察するためにはその詳細な分析が必要であり、「祈祷」という行為に注目することによる可能性を提示した。

星野光樹氏「近代における神社祭祀制度の確立過程」
 近代において神社祭祀が展開する過程では、神社における国家祈祷の内容と儀式次第の統一化が課題とされていた。それについて、王政復古・神武創業による祭政一致制度に復するための神祇官再興、新嘗祭・祈年祭の再興、二十九社奉幣の展開、四時祭典定則・地方祭典定則の制定、式部寮による祭祀改革に至る展開を跡付け、天皇が親祭する国家祭祀と同様に、神社が敬神と崇祖を行う場として祭式が整備されたことを指摘した。

藤田大誠氏「国家神道と祭政一致論」
 幕末維新期に国学者等による神祇官復興運動において必須の用件とされていた「八神殿奉斎論」が、明治五年に宮中三殿の一つである「神殿」が成立して八神殿の名称が廃された後も、様々な変遷を遂げたことについて、昭和戦前期に至るまでに、一つの方針になるまでの意見の一致が見られなかったことには、宮中三殿の存在そのものが、神祇官や八神殿の否定のもとに創立された歴史的な要因があることを指摘した。

・討議
 全発題者の発表後の全体討議において、「国家と祭祀の歴史的展開」について、まず、井上寛司氏から次のようなコメントがあった後、千々和氏の司会で報告者との討議がなされた。
 井上氏は「国家と祭祀の歴史的展開」を考える上で、枠組・議論とすべき前提には、
 [鮖砲砲いて連続しているものと断絶しているものを確認するため、時代毎の国家と宗教の関わり、時代毎の宗教の構造、その中での祭祀とは何だったのかの確認。
 国家祭祀とは何か。さらに神社は時代毎に違う階層性を持っていることから、それぞれの時代における国家祭祀とはいかなるものだったのか。
の二点があるとした。時代毎の宗教構造としては、律令制による国家的な寺院制度・神社制度などが、連携して一つの宗教構造を作っているのが古代であり、中世は国家権力に対して宗教勢力が自立的な力を持ち、日本的仏教思想と神祇信仰が融合しながら、神社と寺院が機能分担していた。近世は世俗的権力・国家権力による宗教統制の時代(寺院中心)であったが、信仰自体から言えば吉田神道を始めとした自立的宗教としての神道が誕生した時代であった。近代は、宗教そのものに国家が干渉した時代であり、そのような構造の中に、神仏分離、神社非宗教論等も位置づけられることを述べ、古代から近代までの神道史の重要性を論じながらも、かつまた、その連続性を捉える困難さを指摘した。
 そうした中で、古代における伝統的祭祀と神社成立のズレについてや、中世国家とは何か、中央国家権力と地方国家権力の性格・機能・位置づけの確認の必要性、更には中近世の連続性・非連続性や、近代における国家神道について、そして神社神道の意味をどう捉えるか等、多くの重要な発問があり、積極的な討議が行われた。

・今後の課題
 最後に、司会の千々和氏より、東アジア全体から神道を見る視点や、祈祷は神道に元々あったのか、さらには国家を考えるときに国家と地域をどのように捉えるかという論点が重要であることを指摘した。また、井上氏から、神社の実態はまだまだ不明な点が多いことや、神社といっても各時代に多様な階層性があることからも、今後とも一つ一つ、それらについて研究を重ねていく必要性があることを課題として提示した。

文責:宮本誉士(COE研究員)
 
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