神道と日本文化の国学的研究発信の拠点形成 Kokugakuin University
 サイト内の検索

高度な検索
 メニュー
  • ホーム

  •     ・COEプログラムのご案内
        ・最新のお知らせ
        ・最近の刊行物
    
      ・神道・神社史料集成
        (神社資料データベース)

      ・国学関連人物データベース
ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> b. 研究会 >> グループ2「神道・日本文化の形成と発展の研究」
研究会「愛媛県東予・中予地域(旧伊予国)における神社の文献史料と現状」 
公開日: 2003/6/25
閲覧数: 4850 回
Size 7078 bytes
印刷用ページ
 
研究会「愛媛県東予・中予地域(旧伊予国)における神社の文献史料と現状」報告

研究会ポスター

1 開催目的
 本学におけるCOEプログラム「神道と日本文化の国学的研究発信の拠点形成」においては、神道・日本文化の形成と発展に関する調査研究を事業推進の柱の1つとして打ち出している。当該研究を推進するに当たって、特に神道研究では、仝Φ翅仂櫃鮨声劼棒瀋蠅掘↓∋卜舛鮹羶瓦箸靴浸駑措集を行い、Bやかに収集データ・研究成果を公開することが、本学の研究蓄積を活用して、世界的な研究拠点を構築するために必要であると考えられる。今回の研究会のテーマである「神社と神道に関する基礎データの収集とその分析・研究」は、このようなねらいのもと設定された。
 平成15(2003)年2月15日から18日になされた愛媛県の神社の調査は、このテーマにもとづいて行われたものであり、西条市中野の伊曽乃神社の『与州新居系図』(国指定有形文化財)や、越智郡大三島町宮浦の大山祇神社文書(県指定有形文化財)の電子化に成功するなど、一定の成果が得られた。こうした史料は、一般に広く公開されていないものがほとんどであり、これを本テーマで作成する予定の「神社資料データベース」で公開することで、広く研究者の利便性を向上させることが可能となる。
 しかし、こうした資料収集を行うだけではなく、それをもとにした基礎的研究を行うことも、拠点の形成には求められよう。その際に、いかなる研究を行うことが重要であるかという意識を常に念頭に置く必要があろう。
 神社研究については、戦後50年以上経た現在においても、なお未発達であるという見解が根強い。それは、文献史料の絶対的な不足や、存在していても余り知られていない点に多く起因する事は間違いない。こうした神社史料を使用し、新たな知見を見出すことは、確かにそれだけでも意義がある。
 ただ、それだけに限らず、「新たな知見」というのは、個々具体的な研究成果を指すだけではなく、従来神社を対象としてきた研究の大きな動向の中で、見過ごしてきた視座を提供することも含まれる。しかし、この点に関しては、どの程度の水準であれば「新しい知見」といえるのかを見極める必要があろう(この際、本事業でも留意されているように、文献史学以外の研究を取り入れる必要性も考慮しなければならない)。特に、神社の現状をデータ化した場合には、いかなる情報が研究に有用かどうかですら問題となろう。
 このような問題について、調査者それぞれの視点から、解決の糸口を試みたのが本研究報告ないし発表会である。
 今回は、コメンテーターとして牟禮仁氏を招へいした。それは、以上の問題を解決するには、その設計の段階から、複数の視点を有する研究者からの視点が必要となってくるからである。牟禮氏は、神道の研究者の中でも、非常に研究対象が広く、伊勢神宮と中世神道論に関してそれぞれ単著1本の業績を持つ他に、神社の現状について、統計データをもとに分析した研究も行っており、まさに神社という場を核とした研究については、本事業において、重要な示唆を提供しうる人物といえる。

2 開催日
 平成15年3月15日(土)16:00〜18:00

3 開催場所
 國學院大學常磐松2号館第1会議室

4 調査報告者・研究発表者・コメンテーター
 加瀬 直弥(國學院大學COE研究員・調査報告「伊予国の神社における信仰要素」)
 岡田 莊司(國學院大學神道文化学部教授・研究発表「大山祇神社と三島大祝」)
 牟禮 仁(皇學館大學神道研究所教授・コメンテーター)
 なお、出席者は6名だった。

5 研究会の詳細

5-1 発表概要
加瀬 直弥 調査報告「伊予国の神社における信仰要素」

発表1


 本テーマで作成する「神社資料データベース」の基本的な理念ないしその項目の概要と、愛媛県調査における調査の概要を報告。成果詳細は「愛媛県東予・中予地域(旧伊予国)調査報告」参照。

岡田 莊司 研究発表「大山祇神社と三島大祝」

発表2


 大山祇神社の一宮成立に、天皇即位一代一度の大神宝使が関わっていたという点の指摘を行った。その上で、愛媛県調査で電子化した伊曽乃神社蔵『与州新居系図』に記された三島大祝(中世以来の大山祇神社の神職)になっている別宮越智家の人物を、『越智系図』(群書類従系図部)の人物に比定することで、三島家が中世的社家として一定の地位を確立させる過程を明らかにした。

5-2 研究発表に対するコメント
 以上の発表を経て、牟禮氏より「神社資料データベース」そのものについて、以下のコメントがなされた。

発表3


(い)まず、古代の文献史料については、神社に関係するものに限らず、大嘗会・恒例の宮中祭祀なども採録する必要性がある。
(ろ)神階・一宮に関するデータは独立させる。
(は)同時並行して、「包括的な神社の研究」と、「特定神社の研究」に分け、文献目録を作成する必要がある。

 その他、神社調査そのものの意義については、他の地域における蓄積を行う必要がある。そのため、多くの地域に調査を試みる必要がある。との指摘を受けた。
 また、本テーマで近代を担当する藤田大誠COE研究員より、近代の神社調査の進捗状況の説明があり、史料整理・分類の的確さが求められる点についての指摘があった。

5-3 コメントを踏まえた本事業の課題と展望
 「神社資料データベース」の本質として、情報量の増加と適切な分類が求められる。最終的な方向性として、『六国史神祇索引』(神宮皇學館編・昭和8(1933)年)に準じた項目分類を行う事で、牟禮氏のコメント(い)の解決が出来る。ただ、神社研究の意義の重要性に鑑みて、優先して神社対象の史料収集を行う方針自体は変えない。
 また、牟禮氏の(は)は、先行研究の十分な理解が研究発展、すなわち「新たな知見」につながるという認識のもとでの助言である。データベース作成に当たっても、研究動向の把握に資する情報の提供は当然求められよう。従って、牟禮氏の(は)については、早期に作業着手する必要性がある。
 ただ、文献史料の部分はともかく、現状データの活用法を考慮したときに問題となる研究方法の許容性という点については、なお課題が残る。この点については加瀬が調査報告と並行する形で、新たな研究視座を提起したつもりであるが、これに対する妥当性や、問題点については、いわば場当たり的に対処していくより適当な方法がないようにも受け止められた。ただ、近世における式内社比定に伴う証拠の提示や、現在も行われている神道的信仰を維持する努力などは、国学の研究や、宗教意識の調査にもつながるものであり、他の事業テーマの内容に即した調査項目を優先して設定するのが、拠点形成の近道であると考えている。
 牟禮氏が指摘するところの(ろ)について、神階については過去の蓄積を利用するというCOEの意義を踏まえれば、特別に考える必要がある。一宮の項目については、一宮自体の性格がなおはっきりしない部分があるので、古代ではなく、中世の研究の課題として専ら捉えるべきと考える。
 しかしながら、実際の作業の進捗という面からいえば、中世部分のデータベースについては、一宮から始めることが妥当であろう。これについては岡田が参画した中世諸国一宮制研究会による『中世諸国一宮制の基礎的研究』(岩田書院・平成12(2000)年)が存在し、神社関係史料の整理がしやすい環境にある。そればかりではなく、近世・近代におけるデータベースの対象が明治4(1871)年制定当初の官国幣社であり、一宮がほぼ列格されている。時間を追った神社の実態を探るためには、こうした対象の統一性は必要不可欠であり、作業上の効率を上げるためにも、一宮の史料を優先して資料採集する必要があろう。

文責:加瀬直弥(COE研究員)

 
このセクションの目次に戻る | 総目次に戻る
このページに対するお問い合せ先: 研究開発推進機構事務課

國學院大學研究開発推進機構 〒150-8440 東京都渋谷区東4-10-28
TEL 03-5466-0162
Copyright © 2002-2004 Kokugakuin University. All rights reserved.