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ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> a. 調査 >> グループ1「基層文化としての神道・日本文化の研究」
奄美大島ヒラセマンカイ調査 
公開日: 2004/1/14
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日 時 平成15年8月29日〜9月2日
調査地 鹿児島県大島郡龍郷町秋名
参加者 辰巳正明(COE事業推進担当者)、青木周平(COE事業推進担当者)、田畑千
    秋(大分大学教授)、城崎陽子(COE研究員)、長野隆之(COE奨励研究員)、大堀
    英二(本学大学院生)
概 要 
 COE第汽哀襦璽廖峇霑慂顕修箸靴討凌斉察ζ本文化の研究」における研究課題「日本における神観念形成とその比較文化論的研究」では、日本人の神観念に関する調査研究の一環として奄美大島龍郷町秋名の「ショチョガマ」「ヒラセマンカイ」の両行事の調査を平成15年8月29日から9月2日にかけて行った。
調査に参加したメンバーは、COE事業推進担当者として本学教授の辰巳正明、青木周平の2氏が、専門的知識の提供者として大分大学教授の田畑千秋氏、瑞木書房の小林基裕氏、そして、COE研究員の城崎陽子とCOE奨励研究員の長野隆之、資料整理等協力者の大堀英二の計7名である。
 調査に先立つ打ち合わせの中で、この度の調査においては奄美・南琉球における「神観念形成」という命題に迫る視点として次の点が挙げられた。1,奄美アラセツ行事における神観念、2,神口の表現と神観念、3,歌掛けと神迎えにおける神観念、4,儀礼食と神観念、5,聖地の形成と神観念
これらを当面の問題意識として、各行事における「神観念」の類似点・相違点、さらには「日本における神観念形成」の一端を探ることが、今回の調査の目的であった。
奄美地方においては一般に旧暦八月初の丙の日を「アラセツ」、6日後の壬の日を「シバサシ」、シバサシの後の甲子の日を「ドンガ」と呼び、一連の行事が行われる。この三日間を総称して「ミハチガツ」と呼ぶ。秋名のショチョガマ・ヒラセマンカイはミハチガツの内のアラセツの日に行われる行事である。
ミハチガツには家ごとに「コーソガナシ」が祀られる。コーソガナシは奄美地方においては一般に先祖を指すが、ショチョガマに際してはこれが祈願の対象となる。この場合は盆に祀る場合とは異なり、供物に魚の使用が許されている。おもに揚げ物にして供えるが、盆の供物が精進である点を考えると、ここには「祖先」とはいえ、仏教思想に拘束されない南島に特有の神観念があるといえる(【写真1】参照)
ショチョガマは祭り当日の早朝、日の出とともに行われ、敷設物の上で祈願し、これを踏み倒すことで行事が終了する(【写真2】参照)。また、ヒラセマンカイは祭り当日、海が満ちてくる夕刻に行われる行事であり、浜辺の岩に立って神を招き、祈願する行事である(【写真3・4】参照)。それぞれの祈願の趣は「畦枕(畦に稲穂が垂れた状態)」と称される「豊作」にあって前者は射し登る太陽に向かい、「稲霊」そのものを祈願の対象とするのに対し、後者は満ち来る潮に乗って招来されるネリヤカナの神を対象としており、「神」という対象に対する感覚が異なっている。
 この神観念の相違は、ショチョガマがグジを祭祀者にして、集落の男達を中心に行われる行事であるのに対して、ヒラセマンカイは琉球王府から任命されるノロを中心に行われる行事であったという司祭者の違いによる問題なのかもしれない。現在、両行事の執行は集落の人々が重複して行っているが、ショチョガマ行事は奄美地域に数多く残されていた行事であったことも考え合わせると、集落単位の祈願祭としての色彩が強い。一方、ヒラセマンカイは他地域にその例を見ないことから、秋名集落独自の、そして、集落全体の祈願祭として機能していたといえる。ところが、両行事は当日行事に際して詠われるショチョガマの歌詞に明らかなように、二つで一対の行事でもあって、こうした二重構造的な行事のあり方がショチョガマ・ヒラセマンカイの神観念を複雑化させているといえる。
 こうした行事の構造と神観念のあり方を考えるためには他地域との比較検討がぜひとも必要である。今調査に続いて行われた沖縄・竹富島の「ユーンカイ」行事はもちろんのこと、来年度予定されている中国・少数民族の諸行事等さらに調査研究を継続することが課題として残された。

文責:城崎陽子

コーソガナシの供物
【写真1】コーソガナシの供物

ショチョガマ
【写真2】ショチョガマ

神ヒラセのノロ役
【写真3】神ヒラセのノロ役

女ヒラセの諸役
【写真4】女ヒラセの諸役















 
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